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書籍の詳細

アクロイド殺し

アクロイド殺し』(アクロイドごろし、原題:The Murder of Roger Ackroyd)は、アガサ・クリスティが1926年に発表した長編推理小説である。クリスティ6作目の長編で、エルキュール・ポアロ・シリーズの3作目にあたる。本作は1925年7月16日から9月16日にかけてロンドン・イブニング・ニュース紙に Who Killed Ackroyd? の題で54話の連載小説として掲載され、後にコリンズ社から一冊の単行本として出版された。

この作品は、ポアロの隣人により書かれた手記という形をとるが、実はその隣人自身が犯人であったため、「語り手が犯人である」という叙述トリックが読者に対してフェアかどうかの論争を引き起こすことになった(後述#フェア・アンフェア論争を参照)。現在でも推理小説史上に残る名著として、クリスティの代表作の一つに挙げられている(詳しくは#作品の評価および#本作のトリックを参照)。

あらすじ

事件の発端
キングズ・アボット村のフェラーズ夫人が亡くなった。夫人は未亡人だが大変裕福で、村のもう一人の富豪ロジャー・アクロイドとの再婚も噂されていた。検死をおこなった「わたし」(ジェイムズ・シェパード医師)は睡眠薬の過剰摂取と判断したが、噂好きな姉キャロラインは早速あれこれと聞き出した上、夫人の死は自殺だと主張する。外出した「わたし」は、行き会ったロジャーから、相談したいことがあると言って夕食に誘われた。夕方、屋敷を訪ねた「わたし」はロジャーから悩みを打ち明けられた。再婚を考えていたフェラーズ夫人から、一年前に夫を毒殺したことを告白されたというのである。しかも、夫人はそのことで何者かから恐喝を受け続けていたという。そこにフェラーズ夫人からの手紙が届き、ロジャーが読み始めたところ、それは恐喝者の名前を告げようとする手紙だった。ロジャーは後で一人で読むと言って「わたし」に帰宅を促す。その夜ロジャーは刺殺され、フェラーズ夫人の手紙は消えた。
事件の捜査とその後の経緯
ロジャーの遺産を受け継ぐラルフが行方不明となっており、警察は彼を有力な容疑者とする。ロジャーの姪フローラは、探偵を引退して村に引っ越してきていたエルキュール・ポアロに助けを求めた。「わたし」は隣家の奇妙な外国人が探偵であることを知る。ポアロは依頼を引き受け、「わたし」を助手役に捜査を開始した。ラルフの他に、事件当日、村で目撃された不審な男がいることが分かり、容疑者となる。「わたし」の家に来たポアロにこの事件についての書きかけの手記を読ませたところ、ポアロはその手記に感心する。執事のジョン・パーカーは以前の主人を恐喝した前科のある男だったが、殺人については否定する。事件当日に目撃された不審な男は、家政婦のエリザベス・ラッセルの息子だった。その息子が屋敷を訪れた時間は、ロジャーの死亡推定時刻とは食い違っている。フローラは、事件当日おじのロジャーの部屋から現金を盗み、それを隠すためにうそをついていたと告白する。そのため、ロジャーの死亡推定時刻が当初思われていたよりも早まる。
事件の真相
ポアロは関係者を一堂に集める。ポアロはシェパード医師がラルフを精神病院に匿っていたことを皆に告げ、「シェパード医師の記録には書いていないこともある」と指摘する。ラルフは小間使いのアーシュラと密かに結婚していた。それを知って激怒したロジャーが殺されたため、疑われることを恐れたラルフは、「わたし」の勧めで身を隠していたのだ。ポアロは「明日になれば真相を警察に話します」と宣言する。その後、シェパード医師と二人きりになり、真相を話す。ロジャーは、亡くなった日に録音機に声を録音していた。犯人がその声を再生したため、その声を聞いてロジャーが生きて話していると思ったパーカーの証言から死亡推定時刻が遅れることになったのだ。ロジャーの死亡推定時刻にそばにいて、録音機を持ち運びできるかばんを持っていた人物が犯人で、それはシェパード医師である、とポアロは話す。
結末
ポアロは、フェラーズ夫人への恐喝の露見を恐れてロジャーを殺したシェパード医師の動機を説明し、「あなたのお姉さんのためにも真相を隠しておきたいが、逃げ道が一つだけある」と言う。家に帰った「わたし」は、これから睡眠薬を飲むことにする、と書いて手記を終える。

登場人物

エルキュール・ポアロ
私立探偵。引退し、からまつ荘でカボチャ(正確にはペポカボチャの一種で外見が冬瓜に似る)作りにいそしむ。
ロジャー・アクロイド
大富豪の地主。私生活では大変な倹約家である。
ラルフ・ペイトン
ロジャーの義子。皆に好かれているが、義父と異なり、金銭にだらしがない。
セシル・アクロイド夫人
ロジャーの義妹。夫(ロジャーの弟)と死別し、娘とともにロジャーのもとで暮らしている。
フローラ・アクロイド
セシルの娘。若く美しい女性である。ロジャーの希望によって、1か月前にラルフと婚約した。
ジェフリー・レイモンド
ロジャーの秘書。明るく、快活な青年。
ジョン・パーカー
ロジャーの執事。事件後、警察の捜査にひどく動揺する。
エリザベス・ラッセル
アクロイド家の家政婦。一時期、ロジャーの再婚相手と噂されていた。
アーシュラ・ボーン
アクロイド家の小間使い。仕事振りは優秀だが、事件当日に暇を願い出ていた。
ヘクター・ブラント少佐
ロジャーの旧友。有名な狩猟家である。人付き合いは苦手で、寡黙。
フェラーズ夫人
キングズ・バドック荘の未亡人。1年前に、大酒飲みの夫を亡くしている。
ジェイムズ・シェパード
医師で、ロジャーの友人。本作品の語り手であるとともに、実は犯人である。
キャロライン・シェパード
ジェイムズの姉。噂好きな村人の中でも、特に情報収集に長けている。
ガネット
噂好きな老女。キャロラインとも仲がいい。
チャールズ・ケント
事件当日、屋敷を訪ねてきた正体不明の男。アメリカ訛りがある。
ハモンド
弁護士。ロジャーの遺言書を預かっていた。
ラグラン
警部。ポアロの手腕をあまり信用していない。
メルローズ
大佐で州警察本部長。ポアロの手腕や功績については認めている。

作品の評価

  • 作者ベストテンでは、1971年の日本全国のクリスティ・ファン80余名の投票、および1982年に行われた日本クリスティ・ファンクラブ員の投票のいずれにおいても、本書は2位に挙げられている(いずれも1位は『そして誰もいなくなった』)。
  • 各誌の海外ミステリー・ベストテンでは、1975年『週刊読売』で5位、1985年『週刊文春』(東西ミステリーベスト100)で8位、1999年『EQ』で8位、2005年『ジャーロ』で8位、2010年『ミステリが読みたい!』(海外ミステリ オールタイム・ベスト100 for ビギナーズ)で7位、2012年『週刊文春』(東西ミステリーベスト100)で5位と、近年においても高評価を維持している。
  • 1990年に英国推理作家協会が選出した『史上最高の推理小説100冊』で5位に評価されている。
  • 1995年にアメリカ探偵作家クラブが選出した『史上最高のミステリー小説100冊』の総合で12位に評価されている。

本作のトリック

トリックの発想の起源と画期性

本作で使われた「語り手=犯人」のトリックは、クリスティが初めて用いたものではない。ただしクリスティ自身は、義兄ジェームズ・ワッツの「ちかごろの探偵小説は、だれでも犯人にしてしまうんだな。探偵本人が犯人というのもある。ぼくだったら…」「ワトソン医師みたいな人物が犯人という小説があったらどうか」という、このごろの探偵小説を評した彼の言葉を独創的なものと評価した。さらに、インド総督ルイス・マウントバッテン卿からそれを発展させたアイディアを手紙で提示されたことを元にしてプロットを考案した。

この作品が発表された後、クリスティ自身は「このアイディアは、一度きりしか使えない独創的なもので(あとからこれを模倣した作品が多く出たが)、おそらくたいていの読者を驚かせるものである」と自賛している。クリスティは、おそらく他の先行作品に気づかなかった。ただし、自身には2人の語り手のうちの1人が犯人であるという先行作品がある。

この「記述者=犯人」トリックの先例は、1917年に出版されたスウェーデンの作家S.A.ドゥーゼの4番目の作品である「スミルノ博士の日記」である。さらにノルウェーのStein Riverton(スヴェン・エルヴェスタのペンネーム)による同じアイディアの作品 "Jernvognen---Kriminalroman" がある。ただし、これらの作品は読者に対しては「記述者=犯人」であることを隠しておらず、内容的には倒叙物に近い。

1921年に谷崎潤一郎が発表した『私』もこのトリックを使っており、その際芥川龍之介から、イタリアにああいうものがあると言われたとのちに書いている(『春寒』)が、この作品は特定されていない。

トリックの位置付け

当時の推理小説は、エドガー・アラン・ポーのデュパン作品やコナン・ドイルのシャーロック・ホームズ・シリーズに代表されるように、「主人公である探偵役の活躍を別の登場人物が書いたもの」という形式が主流であった。過去のポアロ物も、ヘイスティングズ大尉が記述者という形を取っていた。

『アクロイド殺し』はヘイスティングズ大尉に代わってシェパード医師の手記という形式の小説であったが、そのシェパード医師自らが犯人であること、またそのことをポアロだけに対してではなく読者に対しても隠して騙すという、設定を逆手に取ったプロット、トリックを用いた。語り手のシェパード医師は嘘は書かなかったものの、自らが犯した殺人の決定的な描写をわざとあいまいに書いている。これが今日に言う叙述トリックもしくは信頼できない語り手であったために、フェア・アンフェア論争を引き起こすこととなった。さらに同年にはクリスティの失踪事件も起き、話題が大きくなった。しかし、この作品によってクリスティはベストセラー作家の仲間入りを果たし、彼女の知名度を大きく高める結果となった。先述のように現在でも代表作の一つに挙げられる。

フェア・アンフェア論争

このトリックがフェア・プレイでないとする側の代表は、ヴァン・ダインである。彼は「読者に対し仕掛けられている(この)トリックは、推理小説の作者の合法的な手法とは言いがたい。それゆえ、作中のポアロ探偵の捜査ぶりにはときおり秀でたところがあるのだが、その効果も結末によってすべて帳消しにされている。」と述べ、本作品を全然推奨しがたいものとして葬っている。そして、ヴァン・ダインはこの後、1928年に「ヴァン・ダインの二十則」を発表し、その第2項にて叙述トリックを否定している。

フェア・プレイであるとする論者の代表は、ドロシー・L・セイヤーズである。セイヤーズは、「このような(ヴァン・ダインの)見解は、作者のためうまくトリックにかけられたことを残念がって漏らすごくあたりまえの意見にすぎず、必要なデータはすべて提供されているのだから、読者たるもの鋭くさえあれば犯人を推定し得るはずであって、これ以上のことを作者に要求することはできない。つまり絶えず機知を働かせて、完全なる探偵のように、あらゆる人物を疑ってかかるのが読者の仕事だろう。」とクリスティを全面的に支持している。

エラリー・クイーンも支持者の一人である。「探偵作家論」を著したトムソンも「作中ポワロ探偵は『各人各様の解釈があるだけのことで、私はなにひとつ事実をかくしてはいない』と述べており、記述者シェパード医師も『ポワロ自身の発見したものをことごとく私に見せてくれただけ』と記しているし、ともにヴァン・ダインの所説と矛盾している」と肯定している。

レイモンド・チャンドラー、ジュリアン・シモンズなど、本格推理小説にはシビアな論者からの評価も高い。

日本ではアンフェアだという声はかなり高かったらしい。雑誌『宝石』誌上の江戸川乱歩と小林秀雄との1957年の対談において、小林は次のように批判している。

「いや、トリックとはいえないね。読者にサギをはたらいているよ。自分で殺しているんだからね。勿論嘘は書かんというだろうが、秘密は書かんわけだ。これは一番たちの悪いウソつきだ。それよりも、手記を書くと言う理由が全然わからない。でたらめも極まっているな。あそこまで行っては探偵小説の堕落だな。」「あの文章は当然第三者が書いていると思って読むからね。あれで怒らなかったらよほど常識がない人だね(笑)。」

ただ、対談の相手である江戸川乱歩はフェア・プレイ派である。

フェア・アンフェア論争の総括をしている瀬戸川猛資は、ミステリ界では「トリックそのものには先例があるものの、仕掛けの大きさにおいて比類のない作品である。犯人は嘘を書いているわけではないのだから決してアンフェアではない。こういう意表をついた大トリックに欺されることにこそ本格ミステリの醍醐味があるのであって、それに文句をつけるのはミステリの本当のおもしろさが理解できない人ではないか――というような意見が大勢をしめ、アンフェア説は完全に駆逐されてしまった。」と述べた上で、この作品には「客観性」がまったくないとして、アンフェア説に立っている。

日本語版

舞台劇

アリバイ』の題名で、1928年にチャールズ・ロートン主演で公演された。1929年にはマイクル・モートンが執筆した同舞台の戯曲が刊行された。この戯曲は、日本でも長沼弘毅の翻訳で発売されている(早川書房)。

映像化

  • テレビ作品
    • 『名探偵ポワロ』「アクロイド殺人事件」 - 2000年、イギリス。なお、キャロラインが「妹」に変更されている。アクロイドは原作より年長であり、化学工場の経営者。
    • Neudacha poirot - 2002年、ロシア。

関連書籍

アクロイドを殺したのはだれか
原題 Qui a tué Roger Ackroyd ?
ピエール・バイヤール (Pierre Bayard) 著、大浦康介訳、筑摩書房、ISBN 978-4480837110
フランスの文学理論家である著者がポアロの推理における疑問点を追求し、(十分に合理的な)真犯人を明らかにした論考。

注釈

出典

関連項目

  • 麻雀 - 当時ヨーロッパで流行していたという。作品との関連は下記のサイトを参照。

外部リンク

  • クリスティと麻雀の夕べ(若島正による解説。ネタバレあり。)


出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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