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書籍の詳細

ペスト (小説)

ペスト』(仏: La Peste)は、アルベール・カミュが書いたフランスの小説。出版は1947年。ペストに襲われたアルジェリアのオラン市を舞台に、苦境の中、団結する民衆たちを描き、無慈悲な運命と人間との関係性が問題提起される。医者、市民、よそ者、逃亡者と、登場人物たちはさまざまだが、全員が民衆を襲うペストの脅威に、助けあいながら立ち向かう。

語り口は、個々のセンテンスが複数の意味を内包し、その一つが現象的な意識および人間の条件の寓意である点で、カフカの小説、とくに『審判』に通じるものがあると言われている。

カミュのアプローチは非情で、語り手である主人公は、自分たちは結局何もコントロールできない、人生の不条理は避けられないという考えを力説する。カミュは不条理に対する人々のさまざまな反応を例示し、いかに世界が不条理に満ちているかを表している。

登場人物

  • 語り手:その正体は最後になって明かされる。
  • ベルナール・リウー:医師。
  • ジャン・タルー:よそ者、彼の手帳がこの作品のもうひとつの語手。
  • ジョセフ・グラン:作家志望の下級役人。
  • コタール:絶望に駆られた男、犯罪者。
  • カステル:医師。
  • リシャール:市内で最も有力な医師の一人。
  • パヌルー:博学かつ戦闘的なイエズス会の神父。
  • オトン氏:予審判事、「ふくろう男」。
  • レイモン・ランベール:新聞記者。
  • 喘息病みの爺さん:リウーの患者

あらすじ

はじまりは、リウーを階段でつまづかせた一匹の死んだ鼠だった。やがて、死者が出はじめ、リウーは死因がペストであることに気付く。新聞やラジオがそれを報じ、町はパニックになる。死者の数は増える一方で、最初は楽観的だった市当局も対応に追われるようになる。

やがて町は外部と完全に遮断される。脱出不可能の状況で、市民の精神状態も困憊してゆく。

ランベールが妻の待つパリに脱出したいと言うので、コタールが密輸業者を紹介する。コタールは逃亡者で町を出る気はなかった。パヌルー神父は、ペストの発生は人々の罪のせいで悔い改めよと説教する。一方、リウー、タルー、グランは必死に患者の治療を続ける。タルーは志願の保険隊を組織する。

ランベールは脱出計画をリウー、タルーに打ち明けるが、彼らは町を離れる気はない。やらねばならない仕事が残っているからだ。リウーの妻も町の外にいて、しかも病気療養中だということを聞かされるたランベールは考えを改め、リウーたちに手伝いを申し出る。

少年が苦しみながら死んだ。それも罪のせいだと言うパヌルーに、リウーは抗議する。確かに罪なき者はこの世にはいないのかも知れない。パヌルーもまたペストで死んでしまうのだから。

災厄は突然潮が退いたように終息する。人々は元の生活に戻ってゆく。ランベールは妻と再会でき、コタールは警察に逮捕される。流行は過ぎたはずなのに、タルーは病気で死んでしまう。そして、リウーは療養中の妻が死んだことを知らされる。

他の作品への言及

  • 最初のパートで、リウーは、浜辺で射殺された男の話を耳にする。おそらくカミュの『異邦人』で主人公が射殺したアラブ人のことであろう。
  • 初めの方で、コタールがカフカの『審判』について言及する。

日本語訳書

  • アルベール・カミュ 『ペスト』上、宮崎嶺雄訳、創元社、1950年。
    • アルベール・カミュ 『ペスト』上、宮崎嶺雄訳、創元社〈創元文庫 B 第53〉、1952年。
  • アルベール・カミュ 『ペスト』下、宮崎嶺雄訳、創元社、1950年。
    • アルベール・カミュ 『ペスト』下、宮崎嶺雄訳、創元社〈創元文庫 B 第54〉、1952年。
  • 『ペスト』 宮崎嶺雄訳、新潮社〈カミュ著作集 第2〉、1958年。
  • カミユ 『異邦人・ペスト・転落・誤解』 佐藤朔ら訳、新潮社〈世界文学全集 第39〉、1960年。
  • カミュ「ペスト」宮崎嶺雄訳、『カミュ 第1』 新潮社〈新潮世界文学 第48〉、1968年。
  • カミュ 『ペスト』 宮崎嶺雄訳、新潮社〈新潮文庫〉、1969年10月。
    • カミュ 『ペスト』 宮崎嶺雄訳、新潮社〈新潮文庫〉、2004年1月、64刷改版。ISBN 4-10-211403-3。

外部リンク

  • ““La peste” d'Albert Camus disponible, en texte intégral dans Les Classiques des sciences sociales” (フランス語) (2011年1月4日). 2011年2月11日閲覧。


出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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