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幼年期の終り

幼年期の終り』(ようねんきのおわり、Childhood's End)はイギリスのSF作家、アーサー・C・クラークの長編小説。1953年に発表され、クラークの代表作としてのみならず、SF史上の傑作として広く愛読されている。

概要

母体となったのはアーサー・C・クラークが1946年7月に執筆した短編小説「守護天使」 (Guardian Angel) である。「アスタウンディング」誌に投稿したが不採用となり、改稿の上「フェイマス・ファンタスティック・ミステリーズ」誌1950年4月号に掲載された。今日の『幼年期の終り』第1部とほぼ同様のストーリーであるが、ディテール、結末などが異なっている。この短編小説をもととしつつ、敬愛するオラフ・ステープルドン風の「予見可能なユートピア」「人類の進化と終末」といったヴィジョンを取り入れて大きく膨らませた長編小説として完成したのが1953年。同年、クラークとしては5作目の長編小説として刊行された。

内容

『幼年期の終り』はプロローグおよび三つの部で構成されている。

プロローグ

米ソの宇宙開発競争が熾烈さを増す20世紀後半のある日、巨大な円盤状の宇宙船多数が世界各国の首都上空に出現する。

第1部「地球とオーバーロードたちと」

宇宙船に搭乗する宇宙人の代表は、自分はカレルレンという名であること、今後地球は自分達の管理下に置かれること、などを電波を通じて宣言する。カレルレンは国際連合事務総長ストルムグレンを通じて地球を実質的に支配し、その指導の下、国家機構は解体してゆく。地球人はこの宇宙人を「オーバーロード(上帝)」と呼んだ。ストルムグレンは地球人としてはただ一人、オーバーロードの宇宙船に立入りを許されたが、オーバーロードは決して生身の姿を見せようとしない。ストルムグレンの定年退官直前、カレルレンは「50年後に生身の姿を公開する」ことを約束する。ストルムグレンはカレルレンの姿を見ようと一計を案じ、退官の日に実行するが、その結果については黙して語らなかった。

第2部「黄金時代」

第1部より50年後。それまで長きにわたって各地の大都市上空にあったオーバーロードの宇宙船は、ニューヨーク上空のものを除いて忽然と姿を消す。ニューヨークの郊外に降り立ったオーバーロードは、約束通り全世界の前に生身の姿を見せる。その姿形は衝撃的なものであったが、人類はその姿を受け入れ、オーバーロードと共存しつつ平和で豊かな生活を享受する。しかし中には反抗的な人々もいた。天文学者ジャン・ロドリックスはオーバーロードの出現によって人類の宇宙進出が挫折したことを遺憾とし、クジラの剥製標本に潜り込んでオーバーロードの母星に密航する。

第3部「最後の世代」

また一部の芸術家達は、地球人固有の心性を守ろうと太平洋の火山島に独自のコミュニティを作る。ある時、このコミュニティに住む子供達に異変が起こり始めた。その報告を受けたカレルレンは、自分達の地球来訪の目的達成の日が近づいたことを知り、人類へ向けて最後の演説を行なう。

80年後、ジャンがカレルレンの演説を知らないまま地球に帰還する。亜光速の宇宙船内で過ごしてきたため、相対性理論の教える通りジャンはさほど年を取っていない。しかし彼を迎えたのは変わり果てた地球の姿であった。カレルレンはジャンに知る限りの真相を語り、協力を要請する。やがて最後の時が来た。地球を脱出するオーバーロードの宇宙船に向って、ただ一人地球に残ったジャンは、地球の悲壮で華麗な滅亡の様子を実況する。

評価

発表から2か月の間に21万部の売上を記録し、また批評家たちからも好意的な評価を得た。また、クラークのファンの多くは「幼年期の終り」を彼の最高傑作だと考えているという。

影響

「人類の進化」というテーマ、「宇宙人による人類の飼育」というアイデアなどは、この作品において総括された。また、「種としての未来の記憶=予感」という斬新な着想は驚嘆に値する。その影響力は、SF内部に留まらず純文学やサブカルチャーの世界にも及んでいる。

書誌情報

  • アーサー・C・クラーク 『幼年期の終り』 福島正実訳、早川書房〈ハヤカワ・SF・シリーズ〉、1964年
  • アーサー・C・クラーク 『世界SF全集 15 クラーク』 福島正実・高橋泰邦訳、早川書房〈世界SF全集〉、1969年。ISBN 4-15-200015-5。 - 『幼年期の終り』(福島正実訳)と『海底牧場』(高橋泰邦訳)を収録。
  • アーサー・C・クラーク 『地球幼年期の終わり』 沼沢洽治訳、東京創元新社〈創元推理文庫〉、1969年4月。ISBN 4-488-61102-8。
  • アーサー・C・クラーク 『幼年期の終り』 福島正実訳、早川書房〈ハヤカワ文庫 SF 341〉、1979年4月。ISBN 4-15-010341-0。
  • アーサー・C・クラーク (October 2000). 幼年期の終り / アーサー・C・クラーク = Childhood's end /. 講談社ルビー・ブックス 241. 講談社インターナショナル. ISBN 4-7700-2711-7. 
  • アーサー・C・クラーク 『幼年期の終わり』 池田真紀子訳、光文社〈光文社古典新訳文庫〉、2007年11月。ISBN 978-4-334-75144-9。 - 脚注1の変更を反映したもの。

映像化

様々な映像化の試みがあったが、Syfyチャンネルが『幼年期の終わり』を全三回のミニシリーズドラマ化すると発表し、『幼年期の終り』が2015年12月14日から三夜連続で放送された。

脚注



出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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