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わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

カズオ・イシグロ
土屋政雄
文庫
早川書房
450ページ
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わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

カズオ・イシグロ
土屋政雄
Kindle版
早川書房
450ページ
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わたしを離さないで

カズオ イシグロ
単行本
早川書房
349ページ
書籍の詳細

わたしを離さないで

わたしを離さないで』(わたしをはなさないで、原題:Never Let Me Go)は、2005年発表のカズオ・イシグロによる長編小説である。同年のブッカー賞最終候補作。

日本語版は2006年4月に、土屋政雄の翻訳で早川書房から単行本が刊行され、2008年8月にハヤカワ文庫版が発刊された。

2010年にマーク・ロマネク監督、キャリー・マリガン、アンドリュー・ガーフィールド、キーラ・ナイトレイ主演により、イギリスにおいて映画化された。

日本では2014年に蜷川幸雄演出、多部未華子主演により舞台化され、2016年にはTBSテレビでテレビドラマ化された。

2017年、イシグロのノーベル文学賞受賞にともなって本作の注目度も高まり、日本でも注文が殺到して増版された。また、CS放送のTBSチャンネルとTBSは、前述のテレビドラマ版を再放送することを急遽決定した。

あらすじ

1990年代末のイギリス。「介護人」キャシーは、ヘールシャムと呼ばれる施設で育てられた「提供者」達の世話をしている。そもそも、キャシーも生まれながらにしてヘールシャムで育った提供者である。施設を出て、大人となったキャシーは、閉鎖的なヘールシャムでの子供時代を回想していく。

ヘールシャムでの教育は、至って奇妙なものであった。「保護官」と呼ばれる教員達により「展覧会」に出展するための絵画や詩などを作る創作活動や、毎週の健康診断などが実施されていた。キャシーが12・3歳の頃、彼女にはトミーという親友がいた。彼は周囲の能力の差についていけずに教室内で度々癇癪を起こす生徒だった。しかし、ある日を境にトミーは騒ぎを起こさなくなり、それがキャシーにとっては疑問であった。ある日キャシーは、トミーに騒ぎを起こさなくなった理由について問いただす。彼は「保護官」の一人であるルーシーの影響だと語る。トミー曰く、ルーシーには絵を描きたくなければ描かなくてよい、と言われたという。またルーシーはヘールシャムの方針に不満を抱いていることがトミーの口から明かされる。この話を聞いた頃からキャシーは、ルーシーの事を注視するようになった。

キャシーが15歳になったとき、ヘールシャムでの最後の1年の出来事であった。ある雨の日、ルーシーは生徒の「映画俳優になりたい」という一言を耳にし、突如生徒を集めヘールシャムの真実を語る。「提供者」達は臓器提供のために造られ、摘出手術が終われば死ぬだけのクローンで、ヘールシャムを出るとすぐに臓器提供が始まるから将来の夢など無意味だという真実を。

評価

抑制された文体で人間と社会の新たな関係を描き出した本作は、英文学者の柴田元幸がイシグロの最高傑作と激賞する一方、作家の佐藤亜紀はあまりにエモーショナルな情動を追いすぎていると酷評し、2006年のワースト作品であると公言した。

2017年度ノーベル文学賞がイシグロに送られた際には、その受賞理由である「世界と繋がっているという我々の幻想に隠された深淵を偉大な感情力で明るみにした一連の小説」を体現する代表作として本作を紹介する解説者が多くいた。

日本語訳書

  • 『わたしを離さないで』土屋政雄訳
    • 早川書房、2006年4月、ISBN 978-4152087195
    • ハヤカワepi文庫、2008年8月、ISBN 978-4151200519

映画

キャリー・マリガン、アンドリュー・ガーフィールド、キーラ・ナイトレイ主演、マーク・ロマネク監督で映画化され、2010年に公開された。イシグロ自身も製作総指揮として名を連ねている。

舞台

ホリプロの企画制作により2014年に舞台化され、彩の国さいたま芸術劇場、愛知県芸術劇場とシアター・ドラマシティで上演された。演出は蜷川幸雄、脚本は倉持裕。

キャスト(舞台)

  • 八尋 - 多部未華子
  • もとむ - 三浦涼介
  • 鈴 - 木村文乃
  • 山本道子
  • 床嶋佳子
  • 銀粉蝶

スタッフ(舞台)

  • 演出 - 蜷川幸雄
  • 脚本 - 倉持裕
  • 企画制作 - ホリプロ

上演日程

  • 4月29日 - 5月15日:彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
  • 5月23日 - 5月24日:愛知県芸術劇場 大ホール
  • 5月30日 - 6月3日:シアター・ドラマシティ

テレビドラマ

2016年1月15日から3月18日まで、TBS系「金曜ドラマ」枠にてテレビドラマ化された。主演は綾瀬はるか。脚本は森下佳子。

原作のイギリスから、舞台を日本に移して翻案。主人公は「恭子」、ヘールシャムは「陽光学苑」などに置き換えている。物語は恭子が過去に遡って語るモノローグ(=信頼できない語り手)によって進行し、第1話 - 第3話を「第1章:陽光学苑編」、第4話 - 第6話を「第2章:コテージ編」、第7話以降を「最終章:希望編」としている。

鈴木梨央は2013年のNHK大河ドラマ『八重の桜』に続き、綾瀬演じる主人公の幼少期を演じる。

ドラマに先駆け、綾瀬はイギリスにて原作者のイシグロと4時間以上にわたる対談に臨んだ。

キャスト(テレビドラマ)

主要人物

保科 恭子(ほしな きょうこ)
演 - 綾瀬はるか(幼少期:鈴木梨央)
原作でのキャシーに相当。
現在は数人の「介護人」を務める。料理・絵画が得意。幼少期は明るくお人好しな優等生で、友彦を常に気にかけ、互いに惹かれていく。
学苑卒業後、友彦、美和と共にコテージ『ブラウン』で生活するが、三人の関係は次第にこじれていき、真実の自決をきっかけに、感情を捨て淡々と自分の使命を受ける事を決意、一人コテージを去る。
その後、美和からの「介護人」リクエストをきっかけに再会する。
土井 友彦(どい ともひこ)
演 - 三浦春馬(幼少期:中川翼)
原作でのトミーに相当。
あだ名は「トモ」。やや押しに弱く優柔不断なところがある。感情が高ぶった時にオナラが出る体質。
幼少期は絵が苦手かつ癇癪持ちである事で、からかいの対象にされていたが、恭子や龍子の心遣いからサッカー選手への夢を持つ。
「提供者」となった後、恭子とは疎遠になっていたが、美和の「提供」を前に三人で陽光学苑跡地を見に行く約束をし、再会する。
酒井 美和(さかい みわ)
演 - 水川あさみ(幼少期:瑞城さくら)
原作でのルースに相当。「提供者」となり、恭子を「介護人」にリクエストする。
幼少より自分が一番でないと気が済まない、勝気で小悪魔的な性格。恭子が友彦からプレゼントされたCDを盗んだり、強引に友彦と交際を始めたりと恭子を振り回していく。
その反面、恭子がコテージを去ろうとする事に困惑するなど、内心では彼女に依存する言動もみられる。

恭子の元クラスメイト

遠藤 真実(えんどう まなみ)
演 - 中井ノエミ(幼少期:エマ・バーンズ)
冷静で勘が鋭く、自身達の出自や学苑の管理にいち早く気づく。
学苑卒業後も恭子と連絡をとり、学苑時代に厳しく止められていたタバコを嗜む。
コテージ『ホワイトマンション』で住人と共に「提供者」の権利運動を行うが、警察に知られ逃亡。街頭で自らナイフで手首を切った後、自身らの境遇を周囲に訴え、首もとにナイフを当て自決する。
大山 珠世(おおやま たまよ)
演 - 馬場園梓(幼少期:本間日陽和)
現在は友彦の介護人で、「提供」の通知が届いている。根っから明るくおおらかな性格。原作でのローラに相当。
花(はな)
演 - 大西礼芳(幼少期:濱田ここね)
大人しい性格で、内心で美和を苦手に思う。美和の話によると、「介護人」講習で友彦と再会し、絵画の指導をしていたらしい。原作でのハナに相当。
三村 広樹(みむら ひろき)
演 - 小林喜日
学苑でのガキ大将的な存在で、絵が苦手な友彦をからかっていた。梯子を使い聖人と共に学苑の外に出て、その日以降消息を絶つ。
内田 聖人(うちだ まさと)
演 - 石川樹
広樹と共に学苑の外へ出て消息を絶つ。

陽光学苑 教職員

堀江 龍子(ほりえ たつこ)
演 - 伊藤歩
原作でのルーシー先生に相当。陽光学苑に赴任してきた保健体育教師。
当初は恵美子の教育理念に共感していたが、学苑の現実を目の当たりにし、広樹・聖人の失踪事件を機に心身ともにやつれ果て、心の病を理由に学苑を去る。
元々は「提供者」への支援団体に参加し、教師退職後は提供者にまつわるライターの仕事に就く。
街中で恭子と再会、三度目の「提供」が迫った友彦を少年サッカーの観戦に誘う。
克枝(かつえ)
演 - 山野海
寮母兼食堂担当。
山崎 次郎(やまざき じろう)
演 - 甲本雅裕
美術部顧問。明るく教育熱心で、美和に慕われていた。原作でのジェラルディン先生に相当。
神川 恵美子(かみがわ えみこ)
演 - 麻生祐未
陽光学苑の校長および創立者。
表向きは穏やかで凛とした印象だが、生徒達を「特別な使命を持った“天使”」と洗脳まがいに教育し、学苑の管理のためには冷徹で手段を選ばない。
実父はクローン研究の一人者であり、 当時は自分や身内の細胞を使いクローンの研究を行っていた。恵美子自身、実母をルーツにしたクローンであり、人間のクローンとしては初の成功例であった。
原作でのエミリー先生に相当(原作にはクローンという設定はない)。

コテージ ブラウン

立花 浩介(たちばな こうすけ)
演 - 井上芳雄
コテージ住人のリーダー。コテージで孤立した恭子を慰め、体も重ねる。「介護人」となる事が決まり、いち早くコテージを去る。
峰岸(みねぎし)
演 - 梶原善
コテージ管理人。「提供者」の存在を軽蔑し、コテージ住人に何かと悪態をつく。原作のケファーズに相当。
金井 あぐり(かない あぐり)
演 - 白羽ゆり
コテージでの恭子の行動で自分の立場がなくなる事で、内心で恭子を疎ましく思う。美和が語った噂話の「提供の猶予」を信じている。原作のクリシーに相当。
譲二(じょうじ)
演 - 阿部進之介
あぐりの彼氏。原作のロドニーに相当。
信(しん)
演 - 川村陽介
陽光とは異なる「ホーム」という施設の出身。気さくな性格。
桃(もも)
演 - 松岡恵望子
信と同じ施設の出身。性に奔放。陽光出身者の待遇に不満を抱く。

その他

マダム
演 - 真飛聖
時おり陽光学苑に訪問しては、生徒たちの作品を選別して持ち帰っていく謎めいた女性。
作品を政財界などに紹介し、「提供者」の持つ才能を世間に知らせる役目を担っていた。
加藤(かとう)
演 - 柄本佑
恭子が介護を担当する「提供者」の一人で、恭子の良き相談相手となっている。
中村 彩(なかむら あや)
演 - 水崎綾女
珠世に代わり、友彦の「介護人」を務める。

ゲスト

第5話
古着屋店長
演 - 大友康平
恭子と友彦が訪れた「のぞみが崎」(原作でのノーフォークに相当)付近の古着屋で出会った男性。かつて友彦が恭子にプレゼントしたものと同じCDを譲る。
かつて「提供」を受け、命を助けられた事がある模様。
第8話
少女
演 - 鈴木梨央
陽光学苑跡地に設立された「ホーム」にいた、幼少期の恭子と瓜二つの少女。恭子と同じルーツを持つクローンと推測される。
第9話
古井(ふるい)
演 - 八代英輝
出版社に勤める編集者。幼少期の恭子が描いた絵が本の表紙に使われていた事から、恭子たちが恵美子と再会するきっかけを作る。
最終話
少年サッカーの父兄
演 - 槙尾ユウスケ
子供の頃に心臓の「提供」を受けている。

スタッフ(テレビドラマ)

  • 原作 - カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』
  • 脚本 - 森下佳子
  • 音楽 - やまだ豊
  • 劇中歌 - 「Never Let Me Go」(作曲 : やまだ豊、歌 : Julia Shortreed)
    • 劇中ではCDアルバム『Songs after Dark / JUDY BRIDGWATER』の1曲という設定。
  • 演出 - 吉田健、山本剛義、平川雄一朗
  • プロデューサー - 渡瀬暁彦、飯田和孝
  • 製作著作 - TBS

放送日程

脚注

外部リンク

  • テレビドラマ
    • 金曜ドラマ わたしを離さないで - TBS
    • 金曜ドラマ わたしを離さないで - TBSオンデマンド
    • 金曜ドラマ わたしを離さないで - TBSチャンネル
    • わたしを離さないで (@NLMG_tbs) - Twitter
    • わたしを離さないで - Facebook


出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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