Readerz.Netトップページに戻る | 前のページに戻る

該当商品
Amazon.co.jpで商品の詳細を表示
アラバマ物語

ハーパー・リー
単行本
暮しの手帖社
399ページ

アラバマ物語 (1964年)

ハーパー・リー

暮しの手帖社
399ページ
カスタマーレビューはありません。
書籍の詳細

アラバマ物語

アラバマ物語』(アラバマものがたり、原題: To Kill a Mockingbird)は、1962年製作のアメリカ映画。グレゴリー・ペック主演。人種的偏見が根強く残るアメリカ南部で、白人女性への暴行容疑で逮捕された黒人青年の事件を担当する弁護士アティカス・フィンチの物語。当時の出来事を、後に成長した娘のスカウトが回想するという形式をとっている。

物語はアティカスが担当した裁判を中心に展開するが、この作品は単なる法廷ドラマに終わらず、子供の視点から見た大人の世界や、周囲の人々に対する純粋な好奇心などをノスタルジックに描いている。

概要

1960年に発表されたハーパー・リーの同名の小説が原作である。彼女の自伝的小説『アラバマ物語』(原題:To Kill a Mockingbird)は1961年度のピューリッツァー賞を受賞、翌1962年には全米で900万部を売り上げるという大ベストセラーになっていた。知人から『アラバマ物語』を薦められた映画プロデューサーのアラン・J・パクラもその内容に深く感銘を受け、嘗て一緒に仕事をしたことのある監督のロバート・マリガンに映画化の話を持ちかけた。二人は小説がピューリッツァー賞を受賞する直前に映画化権を買い取ったという。

物語の舞台はアメリカ南部であるが、実際の映画撮影はハリウッドでなされた。映画の美術を担当したアレクサンダー・ゴリツィンとヘンリー・バムステッドは22万5000ドルという大金を掛けて、ハリウッドにアラバマ州の田舎町のセットを作り上げた。原作者のリーが撮影現場を訪れた時、彼女は余りにセットが故郷に似ているので驚いたという。ゴリツィンとバムステッドの仕事は高く評価されている。

映画は1962年12月25日に公開され、大ヒットを記録した。同年度のアカデミー賞では作品賞を含む8部門の候補となり、そのうち主演男優賞、脚色賞、美術賞(白黒部門)の3部門で受賞した。

著作権標記欠落により、現在パブリックドメインとなっている。

あらすじ

1930年代、アラバマ州の架空の田舎町メイカムで暮らすお転婆なジーン・ルイーズ"スカウト"フィンチ(メアリー・バダム)と兄のジェム(フィリップ・アルフォード)のフィンチ一家。スカウトとジェムの人生の転機となった3年間を綴っている。2人は一緒にゲームをしたり、アーサー"ブー"ラドリーの様子を探ったりしながら毎日元気に遊びまわっている無垢な子供である。ブー(ロバート・デュヴァル)は家から出たことがなく、誰もその姿を見たことがないため様々な噂が飛び交っている。妻と死別した父親のアティカス(グレゴリー・ペック)は公平で穏やかで親身で、その知性と人柄で周囲から篤く信頼されている町の弁護士である。彼は子供達に自分をファーストネームで呼ばせている。兄妹が見ているところで父が貧困のカニンガム(クラハン・デントン)から弁護費用の一部としてクルミを受け取る。父の弁護士としての仕事を通し、人種差別、町にはびこる悪、貧困の悪化などを学び成長していく。

そんな或る日、アティカスに対して地元の判事が白人女性メイエラ・ユーエル(コリン・ウィルコックス)に対する婦女暴行事件で、黒人容疑者のトム・ロビンソン(ブロック・ピーターズ)の弁護の依頼をする。ジェムとスカウトは父が黒人の弁護を引き受けたことで学校で同級生とケンカをするようになる。人種差別の激しいアメリカ南部で黒人の弁護をするフィンチ一家は、周囲の心無い人々から中傷を受ける羽目になってしまう。カニンガムは人々を率いてアティカスが守護するロビンソンに暴行しようとするが、スカウト、ジェム、友人のディル(ジョン・メグナ)はこれを阻止する。スカウトはこの暴行の目的がわからなかったが、カニンガムが以前クルミを持ってきた人物だと気付き、カニンガムの息子がスカウトの同級生だと語る。カニンガムは狼狽し、暴行する気が削がれる。そしてやってきた裁判の日。陪審員は全て白人という被告人にとっては絶望的な状況で、アティカスは滔々と弁護を開始する。トムがメイエラの家に行ったのは確かだが、彼女が力仕事を口実に呼び込んだのだった。またメイエラが殴られた跡があったのも事実であった。裁判でアティカスはトムの左腕が不自由なことを明かした上で、犯人は彼女に左腕を大いに使って暴力を奮ったはずだと語る。そしてメイエラの父ボブ・ユーエル(ジェームス・アンダーソン)に自分の名前を書かせたところ、左利きであることが露見し、トムではなく父親が娘を殴ったのではないかとほのめかす。また事件後彼女が病院に行っていないことも指摘する。アティカスは最後に全て白人男性の陪審員に向かい、先入観を持たず明白な証拠を以って審議してほしいと語る。被告人答弁でトムは彼女の身の上に同情したため彼女の手助けをしたと語る。人種差別が蔓延するこの町ではメイエラへのトムの同情は反感を買ってしまう。2時間経過後、陪審の合議が終了し、判事が評決を質す。陪審の代表が出す結論は、起訴通りの有罪である。アティカスはトムに妻への連絡を約束し、希望を失わないように見送る。大勢の黒人の傍聴人が、アティカスが法廷を出るのを起立して見送る。

アティカスが家に着くと、保安官代理がやってきてトムが護送中に逃走しようとしたため撃たれて亡くなったと伝え、撃たれる直前の彼の様子は異常だったと語る。その後、スカウトとジェムは夕方に学校で行なわれるハロウィン・パーティに出席する。スカウトはメイコム郡の名産品の1つであるハムの着ぐるみを着る。パーティの最中、スカウトは私服と靴をなくしてしまい、仕方なく靴を履かずにハムの着ぐるみのまま家に帰ろうとする。スカウトとジェムが森を通って帰る途中、後を追ってきた何者かに襲われる。スカウトは鎧のような動きづらい衣装により襲撃からは守られたが、逃げることもできず視界も遮られた。襲撃者は後からやってきた何者かに阻まれる。ジェムは殴られて意識を失っており、スカウトは衣装の目出し部分から何者かがジェムを抱きかかえ家に連れて行くのを目撃し、急いで脱出する。スカウトが走って後を追って家に着くと、ジェムが意識を失って横たわっていた。後にジェムは腕の骨折と診断される。テイト保安官がやってきて、襲撃してきたのは、娘のメイエラがトム・ロビンソンに暴行されたと訴えていた、逆恨みによる、酔っ払ったボブ・ユーエルであったと語る。

さらに保安官は、ユーエルは胸にナイフが刺さり亡くなった状態で発見されたと語る。スカウトはアーサー"ブー"ラドリーが部屋の隅に立っているのに気付き、森の中でユーエルから身を助けてくれたのは彼だと確信する。アティカスはジェムが自己防衛でユーエルを殺害したのではないかと推測する。しかしテイト保安官はブーが正当防衛でユーエルを殺害したと考え、ブーを英雄として人前にさらすことはそれこそが「罪」ではないかと語る。ブーを守るため、テイト保安官はユーエルが自分で転んでナイフが刺さったのだと片付ける。スカウトはませた口調で以前父親から教えられた「ものまね鳥を殺すこと」(原題の『To Kill a Mockingbird』に通じる)が罪だというのと同じだと語る。スカウトはブーの立場になって物事を考えてみた。アティカスはジェムが目を覚ますまで一晩中そばにいた。

キャスト

  • アティカス・フィンチ - グレゴリー・ペック: 正義感溢れる弁護士。妻に先立たれた後、男手一つで二児を育てる。
  • スカウト - メアリー・バダム: フィンチ弁護士の娘。本名ジーン・ルイーズ・フィンチ。原作者のハーパー・リーがモデル。
  • ジェム - フィリップ・アルフォード: フィンチ弁護士の息子。スカウトの兄。本名ジェレミー・アティカス・フィンチ。
  • ディル・ハリス - ジョン・メグナ: フィンチ兄妹の友達。トルーマン・カポーティがモデル。
  • ヘック・テイト - フランク・オーヴァートン: 町の保安官。
  • モーディ・アトキンソン - ローズマリー・マーフィ: フィンチ家の向かいに住んでいる女性。
  • デュボース夫人 - ルース・ホワイト: いつも不機嫌なフィンチ家の隣家に住む老婦人。
  • トム・ロビンソン - ブロック・ピーターズ: 白人の娘を暴行した容疑で起訴された黒人。
  • キャルパニア - エステル・エヴァンス: フィンチ家に家政婦として通って来る黒人女性。
  • メイエラ・バイオレット・ユーエル - コリン・ウィルコックス: トムに暴行を受けたと主張する白人の娘。
  • ボブ・ユーエル - ジェームズ・アンダーソン: メイエラの粗暴な父親。黒人を弁護するフィンチ一家に敵意を隠さない。
  • アーサー・ラドリー - ロバート・デュヴァル: “ブー”というあだ名で恐れられるフィンチ家の不気味な隣人。
  • ジーン・ルイーズ・フィンチ(語り) - キム・スタンリー: 大人になったスカウト。物語の語り手。

備考

プロデューサーのアラン・J・パクラたちは映画の新鮮味を保つために、主演のグレゴリー・ペックを除き出来るだけ観客に馴染みの薄い俳優を起用することにした。特に子役は慎重にオーディションが行われ、関係者が候補者を求めてアメリカ南部を駆け回ることになった。映画のヒロインであるスカウトを演じたメアリー・バダムは映画監督ジョン・バダムの実妹である。バダムは殆ど演技の経験は無かったが、この作品で見せた演技で助演女優賞にノミネートされた。授賞式の時点でバダムは10歳と141日であり、これは1974年にテータム・オニールが10歳と106日で受賞するまでこの分野における最年少ノミネートだった。

“ブー”と呼ばれる不気味な青年を演じたロバート・デュヴァルは、本作品が映画初出演である。

日本語吹替

  • NET版吹替 - 初回放送1972年11月26日 21:00-22:55『日曜洋画劇場』

主な受賞

  • 1962年度(第35回)アカデミー賞
主演男優賞:グレゴリー・ペック
脚色賞:ホートン・フート
美術賞(白黒部門):ヘンリー・バムステッド、アレクサンダー・ゴリッツェン、オリバー・エマート
  • 1962年度(第20回)ゴールデングローブ賞
主演男優賞(ドラマ部門):グレゴリー・ペック
作曲賞:エルマー・バーンスタイン
  • 1963年度(第16回)カンヌ国際映画祭
ゲイリー・クーパー賞:ロバート・マリガン

評価

グレゴリー・ペック演じる弁護士アティカス・フィンチは、アメリカの良心を体現したキャラクターとして非常に人気がある。ペックは本作品で第35回アカデミー賞の主演男優賞を与えられた。同年の主演男優賞候補に『アラビアのロレンス』のピーター・オトゥールや『酒とバラの日々』のジャック・レモンといった実力者が居たことを考慮すれば、ペックの演じたアティカスが如何にアメリカ人好みだったかが窺える。2003年にアメリカ映画協会が選んだアメリカ映画100年のヒーローと悪役ベスト100では、アティカスがインディ・ジョーンズやジェームズ・ボンドといったスーパーヒーローを抑えヒーロー部門第1位を獲得、再び脚光を浴びた。

1995年にはアメリカ国立フィルム登録簿に登録された。1998年にアメリカ映画協会が選んだ映画ベスト100中第34位、2007年に更新されたリストではベスト100中第25位にランクインした。2008年には同じくアメリカ映画協会によって、最も偉大な法廷ドラマ第1位に選出された。

チャールズ・J・シールズの「『アラバマ物語』を紡いだ作家」(柏書房)にも出てくるが、最初、この作品はリベラルなものとして受け止められたにもかかわらず、冷静に考えてみるとアティカスの物語、つまり白人の家父長的な価値観がたっぷりの映画になっているともいえる。

トリビア

  • 撮影初日、アティカス・フィンチを演じるグレゴリー・ペックを見た原作者のハーパー・リーは、ペックの太鼓腹が父親そっくりなのを見て涙を流した。二人はすぐに親友になり、リーはペックに友情の証として、父親が所有していた形見の時計を贈った。法廷の場面でペック演じるアティカスが持っているのは、彼女から託された時計である。アカデミー賞授賞式の日もペックはその時計を身に付けていたという。彼は後にオスカー俳優であることよりも、時計の持ち主である方がずっと誇らしいと語った。
  • スカウトを演じたメアリー・バダムは、共演者の台詞を口真似してしまうという悪癖が有った。そのため朝食のシーンを35回、昼食のシーンを23回も撮り直すことになった。イライラしたジェム役のフィリップ・アルフォードは、古タイヤで遊ぶシーンの撮影中に彼女を怪我させるために、わざとバダムの入ったタイヤを危険な方に向けて転がせたという。また、留置所の見張りをするアティカスの所に黒人容疑者の引渡しを求めて群衆が押し寄せるシーンがあるが、その際バダムは彼女を抱きかかえた役者の古傷の有る方の足を思い切り蹴り上げてしまった。

脚注

関連項目

  • マネシツグミ

外部リンク

  • アラバマ物語 - allcinema
  • アラバマ物語 - KINENOTE
  • To Kill a Mockingbird - AllMovie(英語)
  • To Kill a Mockingbird - インターネット・ムービー・データベース(英語)


出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

Readerz.Netトップページに戻る | 前のページに戻る